クレイン・トータス新聞
トータス新聞1面記事
心の芯
2024-12-01
デイサービスセンター鶴舞温泉げんき館は、令和6年12月1日に開設15周年を迎えました。これも偏に、ご利用者・ご家族の皆様をはじめ、関係各位のご支援・ご厚情の賜物でございます。げんき館職員を代表しまして、深く感謝申し上げます。
開設から長い年月が経っておりますので、げんき館をよくご存じの方もいらっしゃれば、最近げんき館を知ってくれた方や、まだよく知らないという方もいらっしゃると思います。そのため、今回の新聞では、改めてげんき館の特徴をいくつかと、私が今、心に強く思っていることをお話させていただきたいと思います。
まず第一に、げんき館といえば、やはり「温泉」です。げんき館のお風呂は、地下600mから汲み上げられた赤みのかかった茶色い源泉の天然温泉です(湯温を上げるため、熱を加えています)。泉質はナトリウム―炭酸水素塩冷鉱泉で、関節痛や神経痛などの一般的適応症に効き目があるのに加え、切り傷や慢性皮膚病・乾燥肌にも効き目があり、美肌泉質の代表格といわれています(女性ご利用者からは、美人の湯と呼ばれています)。赤ちゃんが過ごす、お母さんのお腹の中の羊水のイオン濃度に近いため、リラックス効果も抜群です。ご利用者からは、入浴した日は体の隅々まで温かく、よく眠れるといった声や、体の痛みが軽減し、楽になったなど、たくさんの嬉しいお言葉をいただいており、自然の恵みのありがたさを実感しています。
他にも、「自己選択・自己決定」をしていただく機会が多くあるという特徴があります。入浴ひとつとっても、選択が必要な場面がいくつもあります。例えば女性ご利用者には、3つのお風呂から入浴する場所を選んでいただきます。げんき館には大人数が一度に入浴できる温泉旅館のような雰囲気の内湯・露天風呂の他にも、日の光がいっぱい差し込み、とても明るい雰囲気の、少人数で入浴できるタイプの内湯があるので、希望するお風呂を選択してもらいます(ADLによっては、希望とは別のお風呂場をご案内する場合もございます)。また、リハビリ・体操・入浴など、同時刻に複数のサービスが複数の場所で行われています。何をどの順番で行うかや、体調を考慮して今日はやらないでおくという判断も、ご本人にしていただいております。なぜなら、「自己選択・自己決定」は、生活する上での必要な能力だと思うからです。げんき館のご利用者の多くは、ご自宅で日常生活を送っているので、在宅での生活をより長く続けていただけるよう、げんき館でも選択していただく場面を多く作るようにしております。
続いて、館内での光景について、いくつかお話しさせていただきます。
まずご紹介したいのが、陶芸教室です。令和5年11月より、月2回、金曜日に行っています。陶芸が定期的に行えるデイサービスは珍しいと思います。希望を伺ってのご案内をしていますが、金曜日をご利用の7~8割の方に一度は挑戦していただいています。参加してくださった方のほとんどが、人生で初めて陶芸をやったという方で、始まる前は自分にできるのかと少し心配そうなご様子でしたが、先生方のきめ細やかな指導はもちろんのこと、参加しやすい雰囲気・環境を作ってくださるので、夢中になって作業をしています。また、形ができたとき、焼きあがった自分の作品を見たときの嬉しそうな表情からも、作る喜びを実感してくれていることが見て取れます。中には陶芸教室のある日は休んでいませんと仰って、陶芸教室がげんき館を利用する目的になっている方もいらっしゃいます。
もう1つご紹介したいのが、ご利用者同士の関係性です。げんき館では、空いた時間にご利用者が自然と集まり、様々な趣味を楽しんでいらっしゃいます。具体的にいうと、大正琴の演奏や工作折り紙、数独などの脳トレといったものです。その中で、ご利用者が周りのご利用者にやり方を教えながら一緒に楽しんでいる場面を多く見かけます。新しいことを始めることは、興味があったとしても、とても勇気がいることだと思いますが、先輩ご利用者が、「大丈夫だよ、一緒にやろう」と、優しく寄り添いながら丁寧に教えて下さっているので、初めての方も安心して「やってみよう」と思えるのだと思います。また、教わっているご利用者からも、感謝の気持ちが伝わってきます。ご利用者同士の思いやりの気持ちや行動が見られることが多いことも、手前味噌ですが、げんき館のすごいところで、自慢できる特徴だと思っています。ご利用者同士で「元気でいようね」と声を掛け合っている光景を見ると、嬉しく、胸が熱くなり、それと同時に、げんき館として、自分自身として何ができるのだろうかと考えてしまいます。
これまでげんき館の特徴についてお話をさせていただきましたが、ここからは私が今、心に強く思っていることをお話しさせていただきます。
それは、ご利用者にとって「今日が今までで一番楽しかった」と思っていただけるように、日々のサービスを提供するということです。そう思ったのは、先日、三好理事長と話をした際のことがきっかけです。催し物の打ち合わせの中で、「ご利用者の感動を生む、心が動くこと、やれることをやって差し上げよう」と話をしてくれました。その言葉を聞いた時、心の曇りがパッと晴れ、目が覚めたような気がしました。催し物と日々の業務では、大なり小なり違いはありますが、どちらにも共通する忘れてはいけない大事なことだと思いました。そしてそこから私が辿り着いたのは、「ご利用者のために何ができるかを常に考えて行動する」ということでした。自分では常に心掛けていたはずの気持ちの芯が、恥ずかしながら少し弱くなってしまっていたのかもしれません。ですが、理事長の言葉が私に力をくれました。もうこの芯は決して揺るぎません。
開設からこれまで、げんき館ならではの様々な催し物や日々のサービスを行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、感染予防に重点が置かれ、それができなくなってしまいました。5類移行後の現在までにも、再開できていないことがまだまだたくさんあります。「ご利用者のために何ができるかを常に考え行動する」をモットーに、早期再開と、今までにない新しいことへのチャレンジも、職員一同力を合わせていきたいと思います。
開設から長い年月が経っておりますので、げんき館をよくご存じの方もいらっしゃれば、最近げんき館を知ってくれた方や、まだよく知らないという方もいらっしゃると思います。そのため、今回の新聞では、改めてげんき館の特徴をいくつかと、私が今、心に強く思っていることをお話させていただきたいと思います。
まず第一に、げんき館といえば、やはり「温泉」です。げんき館のお風呂は、地下600mから汲み上げられた赤みのかかった茶色い源泉の天然温泉です(湯温を上げるため、熱を加えています)。泉質はナトリウム―炭酸水素塩冷鉱泉で、関節痛や神経痛などの一般的適応症に効き目があるのに加え、切り傷や慢性皮膚病・乾燥肌にも効き目があり、美肌泉質の代表格といわれています(女性ご利用者からは、美人の湯と呼ばれています)。赤ちゃんが過ごす、お母さんのお腹の中の羊水のイオン濃度に近いため、リラックス効果も抜群です。ご利用者からは、入浴した日は体の隅々まで温かく、よく眠れるといった声や、体の痛みが軽減し、楽になったなど、たくさんの嬉しいお言葉をいただいており、自然の恵みのありがたさを実感しています。
他にも、「自己選択・自己決定」をしていただく機会が多くあるという特徴があります。入浴ひとつとっても、選択が必要な場面がいくつもあります。例えば女性ご利用者には、3つのお風呂から入浴する場所を選んでいただきます。げんき館には大人数が一度に入浴できる温泉旅館のような雰囲気の内湯・露天風呂の他にも、日の光がいっぱい差し込み、とても明るい雰囲気の、少人数で入浴できるタイプの内湯があるので、希望するお風呂を選択してもらいます(ADLによっては、希望とは別のお風呂場をご案内する場合もございます)。また、リハビリ・体操・入浴など、同時刻に複数のサービスが複数の場所で行われています。何をどの順番で行うかや、体調を考慮して今日はやらないでおくという判断も、ご本人にしていただいております。なぜなら、「自己選択・自己決定」は、生活する上での必要な能力だと思うからです。げんき館のご利用者の多くは、ご自宅で日常生活を送っているので、在宅での生活をより長く続けていただけるよう、げんき館でも選択していただく場面を多く作るようにしております。
続いて、館内での光景について、いくつかお話しさせていただきます。
まずご紹介したいのが、陶芸教室です。令和5年11月より、月2回、金曜日に行っています。陶芸が定期的に行えるデイサービスは珍しいと思います。希望を伺ってのご案内をしていますが、金曜日をご利用の7~8割の方に一度は挑戦していただいています。参加してくださった方のほとんどが、人生で初めて陶芸をやったという方で、始まる前は自分にできるのかと少し心配そうなご様子でしたが、先生方のきめ細やかな指導はもちろんのこと、参加しやすい雰囲気・環境を作ってくださるので、夢中になって作業をしています。また、形ができたとき、焼きあがった自分の作品を見たときの嬉しそうな表情からも、作る喜びを実感してくれていることが見て取れます。中には陶芸教室のある日は休んでいませんと仰って、陶芸教室がげんき館を利用する目的になっている方もいらっしゃいます。
もう1つご紹介したいのが、ご利用者同士の関係性です。げんき館では、空いた時間にご利用者が自然と集まり、様々な趣味を楽しんでいらっしゃいます。具体的にいうと、大正琴の演奏や工作折り紙、数独などの脳トレといったものです。その中で、ご利用者が周りのご利用者にやり方を教えながら一緒に楽しんでいる場面を多く見かけます。新しいことを始めることは、興味があったとしても、とても勇気がいることだと思いますが、先輩ご利用者が、「大丈夫だよ、一緒にやろう」と、優しく寄り添いながら丁寧に教えて下さっているので、初めての方も安心して「やってみよう」と思えるのだと思います。また、教わっているご利用者からも、感謝の気持ちが伝わってきます。ご利用者同士の思いやりの気持ちや行動が見られることが多いことも、手前味噌ですが、げんき館のすごいところで、自慢できる特徴だと思っています。ご利用者同士で「元気でいようね」と声を掛け合っている光景を見ると、嬉しく、胸が熱くなり、それと同時に、げんき館として、自分自身として何ができるのだろうかと考えてしまいます。
これまでげんき館の特徴についてお話をさせていただきましたが、ここからは私が今、心に強く思っていることをお話しさせていただきます。
それは、ご利用者にとって「今日が今までで一番楽しかった」と思っていただけるように、日々のサービスを提供するということです。そう思ったのは、先日、三好理事長と話をした際のことがきっかけです。催し物の打ち合わせの中で、「ご利用者の感動を生む、心が動くこと、やれることをやって差し上げよう」と話をしてくれました。その言葉を聞いた時、心の曇りがパッと晴れ、目が覚めたような気がしました。催し物と日々の業務では、大なり小なり違いはありますが、どちらにも共通する忘れてはいけない大事なことだと思いました。そしてそこから私が辿り着いたのは、「ご利用者のために何ができるかを常に考えて行動する」ということでした。自分では常に心掛けていたはずの気持ちの芯が、恥ずかしながら少し弱くなってしまっていたのかもしれません。ですが、理事長の言葉が私に力をくれました。もうこの芯は決して揺るぎません。
開設からこれまで、げんき館ならではの様々な催し物や日々のサービスを行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、感染予防に重点が置かれ、それができなくなってしまいました。5類移行後の現在までにも、再開できていないことがまだまだたくさんあります。「ご利用者のために何ができるかを常に考え行動する」をモットーに、早期再開と、今までにない新しいことへのチャレンジも、職員一同力を合わせていきたいと思います。
鶴舞温泉げんき館
館長 三木 喜文