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クレイン・トータス新聞

トータス新聞1面記事

コロナ禍でも人間らしく

2022-01-01
新聞
 新年明けましておめでとうございます。皆様と共に新しい年を迎えられましたことに感謝致します。
 本年もまたコロナ危機に対応しながらの生活がはじまります。クレイン、トータス、げんき館では、これまでと変わることなく、人間の本来の生き方―心を通わせ、身体に触れて、心配や不安に襲われない共生の場をつくっています。オンラインや隔壁によるご家族との面会は已むを得ないところですが、一昨年の女優さんの死に、夫(家族)の立ち合いを禁じたことがありました。二度と再び戻ることのない此の世との別れです。ご本人のお気持ちを察することさえできません。今でもあの行為は間違っていると思っています。
 
 CTGのどの施設に行っても、ヒンヤリとした空気は流れていません。ご利用者のやや弱い身体エネルギーを職員の熱で温めて、大きい背伸びをしてもらいます。数々の恒例の行事は、止むなく中止や縮小に追い遣られていますが、職員たちは仕方ないことと済まさず、フォローすべく可能な工夫を凝らしています。
 クレインの回廊を歩いてみて下さい。ご利用者と職員の共同制作の数々が壁面を飾り、ゆっくりと見て回れる美術館を思わせます。光源となる中庭は整理されプランターの花々が冬の大気を浴びています。異常気象のせいか、弱ってしまったヤマボウシは、皆の祈念に応えるように葉を落とした枝先に、春先に芽吹く命の力を貯えているのがわかります。
 
 トータスに於いては、ユニットで家族のように馴染んだ職員たちが寄り添って、一家団らんの様を呈しています。開設15周年のお祝いが、各ユニットで行われました。例年の一斉の記念行事とは一味違って、ご利用者と職員との強い共同の姿がありました。ユニットでは三密回避は緩やかで、いつも通りの光景に更に楽しさがプラスされていました。新型コロナは外部から持ち込まない限り、施設の内から発生することは皆無に等しいです。職員たちには自粛を守り通し、日頃の利他の精神が発揮されています。各ユニットの設えは様々で、我家のように装飾されて、職員の個性が現れ、訪れる人も楽しませています。
 クレイン、トータスは滞在型の施設であり、建物の限られた空間の中で過ごされます。人生の終盤を生きるご利用者と生活を共にして、安心と楽しみ、そして心の整理に至る道のりを、職員は家族のように歩んでいます。
 
 一方、日帰りのげんき館には、クレイン、トータスとは異なる対応もあります。ご利用者の活動範囲が広いために、コロナへの対応は厳しいことになりますが、同時にご利用者自身も神経質になり、ここは三密を回避することはできません。そんな中、施設所有の西山庭園画廊が有意義に活用されています。買い物や外食が難しいところで、画廊へのお出掛けは人気のようです。はじめての経験となる方も多いようで、人生の一コマとして今後の楽しみの一つに加えられれば素敵なことです。杖を突いてじっと観ている方、説明を聞いて見直す方、隣り同士で語り合っている方々など、版画、写真、ガラス絵など、興味深そうに観られていました。ガヤガヤと賑やかな場面を想像していたのですが、静かでゆっくりと集中される姿から、高齢者とは異なる印象を受けました。
 
 CTGにはもう一つの場所があります。師走に入ったこの日、ホープラザには尺八の音が流れていました。古民家の中で、お年寄りの観客(15~6人)と、ご高齢の奏者の奏でる尺八は、いかにもしっくりしていました。古来より日本人は竹藪と縁があったのでしょう。地震国で竹藪は時に安全な所です。静かな時の中に僅かな風にも敏感に反応する竹藪の中の尺八の音は自然です。この日の観客もそのように静まり、中には寝入っている姿もありましたが、それも自然な光景です。いい時間でした。
鶴舞という所に、循環器病センターと隣接する介護施設があります。これもごく自然な出来事のような気がするのです。与えられたいのちを自然にお迎えする。CTGの各施設は、そのような思いで、皆様をお待ちしています。
 
 コロナ禍での対応ですが、哲学者西田幾多郎の思想を繙いている生物学者福岡伸一ハカセを敬重している者として、以下に氏の考え方の一端を掲示させていただきます。
「大疫病の波が急に収まったり、次に又新しい株が発生したりしていることは、人間が行動を控えたからとか、予防注射をしたからとか、そういうこととは連動していないように思える。スペイン風邪の時も予防注射はまだなかったのに、なぜか流行はあるときを境にずーっと退潮した。病原体と宿主の力の均衡点が動くことがあり得る。宿主細胞の中では絶えず、ものすごい速度で病原体が分解されている。免疫とは別の生命本来の分解作用だ。この作用が少し優るだけで、病原体はもう増えることができなくなる。」。
 ハカセは病原体と宿主との関係性に注目しているのです。ワクチン必要なしということではありません。これらは福岡ハカセが提唱しているいのちや宇宙が存在している原理「動的平衡」につながることです。
 
社会福祉法人鶴心会 理事長 三好敏弘
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