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クレイン・トータス新聞

トータス新聞1面記事

新型コロナウイルス感染予防について~トータス医務室の取り組み~

2021-10-01
新聞
 2019年12月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは、この記事を書いている現在も、変異を繰り返しながら依然猛威を振るい、収束のきざしが見えません。
 その中で、今回ご利用者の健康を守るために、トータス医務室で実施している、新型コロナウイルス感染予防対策の一端をお伝えしたいと思います。

1)感染経路を遮断する取り組み             
 ウイルスは細胞分裂をする細菌とは異なり、自ら増殖することはできません。物に付着したウイルスも、そのままでは数時間~2日で死滅します。しかし、動物や人間の細胞に侵入するとその細胞の機能を借りてたんぱく質やエネルギーをつくり、ウイルス自身の遺伝子情報をコピーして生き延びます。やがて細胞が死ぬと、ウイルスはコピーしたウイルスと共に他の細胞に侵入し、再び遺伝子情報をコピーする、これを繰り返すことで増殖していきます。つまり、感染予防にはウイルスを体内に侵入させないことがとても大切です。
 新型コロナウイルスに限らず一般的な風邪やインフルエンザは、ウイルスが主に口や鼻、目などの粘膜から体内に侵入することで感染します。マスクをしないで咳をすると、しぶきは2m飛び散るといわれています。その飛沫に含まれたウイルスが直接口や目に入ることで感染します(飛沫感染)。次に、感染者がくしゃみや咳などをおさえた手で、ドアノブや手すりなど周りの物に触れることによりウイルスが付きます。そこを別の人が触り、その手で目や口に触れることにより感染が拡大していきます(接触感染)。その他、飛沫の水分が蒸発してウイルスが付着したまま微粒子となり空気中に長時間漂い、それを吸い込んで感染する(空気感染)も指摘されています。
 これらの感染経路を遮断するために、ご利用者に接するときには、手洗いの徹底、アルコール(濃度70%以上)による手指消毒、マスク・手袋の装着、手で触れることの多い器材等の消毒(0.02%次亜塩素酸ナトリウム)などを行っています。また、休憩時間中もソーシャルディスタンスを保ち、換気を心がけるようにしています。さらに、各自出勤前に体温測定をし、勤務中には2回の検温と体調の確認をするなど、感染防止に努めています。

2)感染を早期発見し、感染拡大を予防する取り組み
 新型コロナウイルスの潜伏期間は1日~14日間といわれています。このウイルスは、症状のない潜伏期間中の患者からも感染するという特徴があります。そこで、外部から施設内にウイルスを持ち込まないために、職員を対象としたPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応検査)という核酸増幅法検査を実施しています。この検査は、検体(唾液や痰)を採取し、その中に新型コロナウイルスの遺伝子(RNA)だけを増幅させる試薬を混ぜて判定をします。判定時間は6~9時間ほどで、翌日には結果が判明します。
 PCR検査は当初、保健所が必要と判断した場合に限って「行政検査」として実施されてきましたが、感染拡大に伴い、2020年3月6日よりPCR検査を公的医療保険の適用対象に加え都道府県が必要と判断した場合も検査が実施されるようになりました。2021年5月20日千葉県の高齢者施設等職員への集中的検査の実施について(要請)に基づき、当施設でも第1回目の検査が6月21・22日に実施されました。医務室では、3名の看護師が、専属で衛生的取り扱いに配慮し、検体の採取準備と回収を行っています。その後、7月はワクチン接種があったため、8月上旬と下旬に検査を実施しました。現在まで陽性者は1名も出ておりません。引き続き10月まで1ヶ月に1回検査を実施していく予定です。

3)ワクチンによる感染防止の取り組み
 新型コロナウイルス感染は発症すると喉の痛みや発熱、倦怠感といった風邪に似た症状が出ます。そのまま回復していく人がほとんどですが、中には発症後1週間くらい経って一気に症状が悪化することがあります。肺胞の炎症による肺炎の悪化と、詳しい原因は不明ですが、本来はウイルスと戦うための免疫システムが壊れ、血管や肺などの健康な細胞を攻撃し破壊してしまうサイトカインストームが起こる場合があります。その結果、呼吸困難、血栓形成、多臓器不全から最悪の場合死に至る経過をたどります。
 新型コロナウイルス感染で重症化しやすい人は、①「高齢者」、②「心疾患、糖尿病、高血圧、慢性の呼吸器疾患など基礎疾患のある人」、③「ステロイド剤や免疫抑制剤を使用している人」といわれています。高齢者の免疫力は、20歳を100とすると60代で5分の1にまで低下します。当施設に入所しているご利用者の多くが基礎疾患のある高齢者であり、重症化する危険性は非常に高く、有効な治療薬の無い現状では、感染しないこと、重症化させないことが最重要となります。そのためには、ワクチン接種が不可欠です。
 2021年2月厚生労働省より、重症化リスクの大きさ等を踏まえて、ワクチン接種の優先順位を「①医療従事者等、②高齢者、③高齢者以外で基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者」とすることが示されました。5月に入って、当施設でも6月からワクチン接種が実施できるように、アナフィラキシーショックなど想定される副反応を予測し、配置医の指導のもと、酸素や医薬品の用意など事前準備が行われました。また、今回ファイザー社製のワクチンを接種しましたが、インフルエンザワクチンなどとは保管方法や薬液の希釈・取り扱い(室温に戻した解凍後のワクチンは、2時間以内に希釈する、できるだけ照明を当てないなど留意点がある)、注射方法も異なりました。そこで、当施設の看護師2名が、既に接種を開始していた配置医の勤務先である加茂診療所を訪問し、ワクチンの取り扱いや薬液の準備等、事前の研修を受けました。さらに、インターネット配信された厚生労働省や千葉大学病院の動画でも学習を行いました。
 全国でワクチン接種が開始されると同時に、ワクチンの不適切な保管方法や取り扱いのミスにより、誤薬やワクチンの廃棄といったニュースが多数報道されました。医務室でも、安全にワクチン接種が実施できるように、毎回3名の看護師が、ワクチンや注射器等の受け取りから、ワクチンの薬液による希釈、注射器に必要量を吸い上げるまでをダブルチェックで、大変緊張しながら慎重に行いました。
 6月10・17・24日に、利用者様を対象とした第1回目のワクチン接種が配置医の田中先生の回診日に合わせて実施されました。当日は体温や体調のチェックをし、接種後は、再度検温と状態の確認を行い、医師に報告をしています。
 2週間ほど遅れて当施設の全職員を対象とした第1回目ワクチン接種が産業医の中村先生立会いの下、クレインの会場をお借りして行われました。
その後、ご利用者の2回目のワクチン接種が、7月1・8・15日に終了し、職員の2回目接種も7月下旬に無事終了いたしました。
 2回のワクチン接種は終了しましたが、最近のデータから「ワクチンを打ったから安心」とは必ずしも言えないような状況が続いています。変異を繰り返す新型コロナウイルスとの戦いはまだまだ続きそうです。また、季節は秋から冬に向かい、風邪やインフルエンザの流行シーズンとも重なってまいります。
 これからも基本的な感染予防に日々取り組みつつ、また、ご利用者の免疫力アップにつながるよう食事や睡眠、心のケア(笑いも取り入れて)にも心を配っていきたいと思います。1日も早く、笑顔で日常の生活に戻れることを心より願っております。今後ともご支援ご協力をどうかよろしくお願いいたします。
トータス看護師 石川 敦子


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